管理栄養士からのメッセージ

 年末年始は何かとご馳走を召し上がる機会の多い時期となります。忘年会での食べ過ぎ、おせち料理を少量ずつでも品数多く召し上がってしまう、餅の食べ過ぎや飲酒の量が多くならないよう気を付けましょう。年明けには体重が増えて、なかには透析中に血圧が下がってしまう患者様もおられます。摂生致しましょう。

 この時期一時的にリンの数値が高くなるのは仕方ございません。正月三が日が終わりましたら、早期に正月モードをリセット致しましょう。では、皆さまよいお年をお迎え下さい。

 

(餅1個50g)餅100g(2個)餅150g(3個)
エネルギー 235Kcal 352Kcal
蛋白質 4.2g 6.3g
リン 78mg 117mg
カリウム 66mg 99mg
食塩相当量 極微量 極微量

 

 米飯150g米飯200g
エネルギー 252Kcal 336Kcal
蛋白質 3.8g 5.0g
リン 51mg 68mg
カリウム 44mg 58mg
食塩相当量 極微量 極微量

管理栄養士からのメッセージ

 平成25年5月に報告しました肥満患者の食事指導の1例(続報)をあげます。

  食物繊維含有栄養調整食品

  栄養調整宅配弁当

  ノンカロリー飴(間食)

  経口血糖降下剤(DPP4阻害薬)

 以上の療法により、体重抑制と血糖値低下がみられました。

 

 ■重度肥満であり糖尿病を合併している透析患者様C氏(女性60歳代、身長140㎝代、DW77.5㎏)におかれまして、経口血糖降下剤(DPP4阻害薬)を服用致しております。作年5月から、食物繊維含有栄養調整食品(種類変更により現在粉末を朝夕食前に1袋ずつ摂取、内容は変更前とほぼ同じ)と栄養コントロール宅配弁当及び間食にはノンカロリー飴を摂取しております。維持透析スタート時(2009.8)にはDW58.0㎏から、年間平均約5㎏の体重増加となりました。この療法を始めた昨年5月にはDW76.4㎏、今年の3月にはDW77.2㎏、そして現在11月のDWは77.5㎏でございます。なお、服薬は朝食後1錠の血糖降下剤を夕食後の服用に変更となっております。この1年7カ月の間DW1.1㎏の増加で留まっております。体重による膝への負担も軽減され、現在は杖も使用しておりません。ちなみに、GA(グリコアルブミン)値は21.1%(2014.4.7)から現在19%(2014.11.3)と落ち着いております。1日空きの透析間の増量は平均2.4%となっております。

管理栄養士からのメッセージ

蛋白質と透析

 

 リンを過剰に摂取し、透析で除去出来ないリンは高リン血症となり、血液中のカルシウムと結合し関節や身体中の血管壁に石灰化して参ります。虚血性心疾患を引き起こし、心筋梗塞や狭心症を引き起こす恐れがあります。なお、身体のあちらこちらに痒みが現れて参ります。過剰なリンは副甲状腺ホルモンの分泌を促進し、二次性副甲状腺機能亢進症となり骨がもろくなってまいります。

 蛋白質を適量摂るように致しましょう。肉魚のうちリンの値の少ないものとして、肉の部位によりますが、100g中およそ100~160㎎のリンが含まれております。レバーは牛・豚・鶏共にリンの含有量は高値です。少量に致しましょう。魚でしたら、ぶり(130㎎)、あんこう・貝類(140㎎)、たちうお(150㎎)、さば・鯛(160㎎)、かれい(180㎎)、あじ(190㎎)など。逆にリンの値の多い魚としては小骨の多いもの、丸ごと食べられる小魚、干物やはまち(300㎎)、鮎(310㎎)と魚によりリンの含有量が変わって参りますので気を付けましょう。ハム類も身が圧縮しておりますのでリンの値は310㎎、なおナトリウムも1100㎎と高値になります。召し上がる時は気を付けましょう。

 なお、肉魚を多めに召し上がる時は卵、豆類(豆腐や揚げも含む)や乳製品の量を控えましょう。

 一般的に、高齢者の場合蛋白質が不足しがちになります。積極的に摂るよう工夫致しましょう。透析の場合ダイアライザーから蛋白質(アルブミン)が漏出します。これは蛋白質不足の原因の一つになります。

 10月に入り涼しくなり発汗量が減って参ります。その分飲水を減らしていくよう努力致しましょう。

管理栄養士からのメッセージ

 咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)能力が低下してきた患者様は、お好きな召し上がりやすい間食(プリンやアイスクリーム等)や栄養調整スープ(カロリー・蛋白質アップしたもの)を上手に利用致しましょう。パンが飲み込みにくようであれば、スープやコーヒーに軽く浸し召し上がることも良いと思います。

 調理する方が複数おられる場合(ヘルパー等)は、リーダーとなられる方が献立や食材の管理をしていきましょう。

管理栄養士からのメッセージ

 今回は、咀嚼(そしゃく)と嚥下(えんげ)についてお話致します。ご高齢の患者様の中には、比較的お元気な方でも咀嚼と嚥下の能力が低下してくることがございます。

 90歳代独居男性の例です。食事や間食は用意されたものは全て召し上がっている患者様です。最近BUN・Pの数値が以前より低下が見られましたので、ケアマネージャーに問い合わせました。焼き魚の切り身はしがんで口から出してしまう、大きめの野菜の煮物は噛み切れずに残してしまうと報告がございました。

 その対策として、副菜を刻みにして御飯を柔らかめに炊いて頂くように致しました。調理する方により刻み方も色々で、患者様に最適な食事形態を準備するのがむつかしい状態でございます。副菜を柔らか食(ソフト食)へと切り替えを考慮致しました。柔らか食は刻み食よりは見た目も良く、高圧高温で柔らかく調理されたレトルト食品や冷凍総菜としても販売されております。患者様の状態に合わせて、咀嚼しやすく、飲み込みやすいものへと食事形態を変えていきましょう。

 今回の試みの結果を追ってお知らせ致します。

管理栄養士からのメッセージ

 今回はリンの摂取についてお話致します。透析にやっと慣れてこられた頃から食欲も増し、今まで摂生しておられた患者様の中には段々とついつい食べ過ぎてしまうことも見受けられます。控えめにしていた肉魚等の量も増し、血液検査結果によりリンの数値が上昇し高リン血症を来すことがございます。血中のリンが高くなりますとカルシウムと結合し全身に沈着し、種々の症状が現れてまいります。

 なお、血中のリンが多くなりますと副甲状腺から副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、骨が分解され、もろくなります。
 透析を導入してからは、血液検査の数値を毎回注目致しましょう。リンが高い場合は、正常値に保つよう食事内容に気をつけましょう。リンの数値は高くても低くても予後はよくありません。

 リンが高めの患者様には医師がリン吸着剤を処方致しております。リン吸着剤の中には副作用が出るものもございます。食事量によりリン吸着剤の配合をかえることも大切だと思います。朝食を摂らなかった場合はもちろんリン吸着剤を服用しない、しかしながら夕食にご馳走を召し上がる時は多めにリン吸着剤を服用することになります。このような場合は医師に相談致しましょう。