最近の良好な栄養指導の例をあげてみます。

患者様(男性70歳)におかれましては、長年にわたり糖尿病の治療及び食事療法をきめ細かく続けてこられました。
平成21年5月より、当院において維持透析を開始いたしました。当初より、食事摂取不良、むかつき、嘔吐を繰り返し、体重は減少傾向にありました。医師の投薬の調製と共に、透析状況の安定を見はかいながら栄養指導に入りました。

患者様の奥様に、食事に変化をつけるよう、また出来合いの惣菜も利用するよう、少し味付けの濃いものをと、色々勧めてみましたが、今までの保存期の食事療法からなかなか転換できませんでした。
血液検査データ及び聞き取り調査から、かなり低ナトリウム血症ではないかと判断致しました。摂取塩分が少なすぎると、脱力感、無気力、嘔吐、めまい、食がすすまないことがありますと説明致しました。

なお、三度の規律正しい食事時間を少し崩して頂き、夕方6時の食事を、患者様の食思が出てくる9時頃になさるように奥様に助言致しました。
調理をされる奥様は、濃い目の味付けにはかなり抵抗があった様子でございますが、少しずつ改善されました。幸いにも近所にショッピングモールが出来ました。日々、奥様が買い物に出かけられ、新鮮なバラエティーに富む食材を取り入れることにより、患者様の食欲も進み、嘔吐もなくなり、減少していた体重も少しずつ増加の傾向にあります。体力がついて、歩行が安定してきた様子です。
ちなみに、当初の尿素窒素は28.8mg/dlと低値でした。現在は74.4mg/dlでございます。